令和2年度年末調整の変更点

          

こんにちは、MSJSサポートです。

今年(令和2年度)から年末調整の項目でいくつか変更点が出たことはご存じでしょうか。

改正事項が多いようですので、いざ年末調整の時に控除誤りを起こさないよう変更点を確認していきましょう。

確定申告

昨年の年末調整から変わった点

改正事項は大きく分けて

  • ① 給与所得控除に関する改正
  • ② 基礎控除及び所得金額調整控除に関する改正
  • ③ 各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正
  • ④ ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正
  • ⑤ 年末調整関係手続の電子化

 

の5つとなります。

① 給与所得控除に関する改正

給与所得控除額は以下の表のとおりに改正されます。

この改正に伴い、年末調整の手順が記載されたパンフレット・PDFにある「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」の内容も変更されています。

令和2年分の年末調整の際は必ず「令和2年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用してください。

給与所得控除額改正表
 

② 基礎控除及び所得金額調整控除に関する改正

基礎控除の改正

基礎控除額は以下の表のとおりに改正されます。

また、令和2年分から合計所得金額が2,500万円を超える所得者の場合は、基礎控除の適用を受けることができなくなりました。

基礎控除改正表
 

子ども・特別障害者等を有する者などの所得金額調整控除の創設

その年の給与の収入金額が850万円を超える所得者で、

  • 所得者本人が特別障害者
  • 扶養親族が特別障害者
  • 同一生計配偶者が特別障害者
  • 年齢23歳未満の扶養親族がいる(平成10年1月2日以後生まれ)

 

上記4つの内いずれかに該当する場合、給与所得者の総所得金額を計算する際に、【A】の所得金額調整控除額を給与所得の金額から控除することになりました。

【A】(給与の収入金額-850万円)×10% = 所得金額調整控除額(最高15万円、1円未満の端数切上)
 

また、給与所得と年金所得の双方を有する人に対する『所得金額調整控除(年金等)』は、年末調整においては適用を受けることができません。

ただし、確定申告により所得金額調整控除(年金等)の適用を受けようとする人が、年末調整の際に「給与所得者の基礎控除申告書」等で合計所得金額を計算するときは所得金額調整控除(年金等)を考慮する必要があります。

 

「給与所得者の基礎控除申告書」及び「所得金額調整控除申告書」の新設

基礎控除の改正および所得金額調整控除の創設に伴い、それぞれに「給与所得者の基礎控除申告書」および「所得金額調整控除申告書」が新たに設けられます。

年末調整において基礎控除または子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受けようとする所得者は、
その年最後に給与の支払を受ける日の前日までにそれぞれ「給与所得者の基礎控除申告書」又は「所得金額調整控除申告書」を給与の支払者に提出しなければならないこととされました。

 

源泉徴収簿の様式変更

改正に伴い、源泉徴収簿に以下の項目が追加・変更されました。

源泉徴収簿の変更点

※「源泉徴収簿の変更点」(国税庁:昨年から変わった点《2-⑷源泉徴収簿の様式変更》)を加工して作成

[追加]

  • 「所得金額調整控除額⑩」欄
  • 「給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)⑪」欄
  • 「基礎控除額⑲」欄

 

[変更]

  • 「扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額⑯」欄 → 「扶養控除額及び障害者等の控除額の合計額⑱」欄

 

これらの追加・変更に伴い、基礎控除額について、令和元年分の源泉徴収簿においては「扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額⑯」欄に含めて記載することとなっていましたが、令和2年分の源泉徴収簿においては「基礎控除額⑲」欄に記載するかたちになりました。

 

③ 各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正

同一生計配偶者扶養親族源泉控除対象配偶者配偶者特別控除の対象となる配偶者(※1)勤労学生の合計所得金額要件がそれぞれ10万円引き上げられ、以下の表のとおり改正されました。

合計所得金額要件改

※1 … 配偶者特別控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分についても、それぞれ10万円引き上げられています。

上記の他、家内労働者等の所得計算の特例について、
必要経費に算入する金額の最低保障額が55万円(改定前:65万円)に引き下げられています。

 

④ ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正

未婚のひとり親に対する税制上の措置

所得者がひとり親(その年の12月31日の現況で婚姻をしていない人、または配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち以下の要件を満たすもの。)である場合には、ひとり親控除として、所得者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から35万円を控除することとされました。

  • 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人(※1)がいない
  • 総所得金額・退職所得金額および山林所得金額の合計額が48万円以下で生計を一にしている子供(※2)がいる
  • 自身の合計所得金額が500万円以下

 

※1 … 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人とは、以下に該当する人をいいます。

  • 所得者が住民票に《世帯主》と記載されている人である場合には、所得者と同一の世帯に属する人の住民票に世帯主との続柄が世帯主の未届の夫(妻)である旨、その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされた人
  • 所得者が住民票に《世帯主と記載されている人でない》場合には、所得者の住民票に世帯主との続柄が世帯主の未届の夫(妻)である旨、その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされているときのその世帯主

※2 … 他の人の同一生計配偶者または扶養親族とされている人以外

 

寡婦(寡夫)控除の見直し

寡婦の要件について、次の見直しを行ったうえで寡婦(寡夫)控除をひとり親に該当しない寡婦に係る寡婦控除に改組されました。

  • 扶養親族を有する寡婦について、上記の要件『自身の合計所得金額が500万円以下』が追加されました
  • 上記の要件『事実上婚姻関係』が追加されました

 

また、「特別の寡婦」に該当する場合の寡婦控除の特例が廃止されました。

 

令和2年分の年末調整の際の申告

上記の「未婚のひとり親に対する税制上の措置」および「寡婦(寡夫)控除の見直し」は、令和2年分の年末調整から適用され、この改正による改正前後の控除に係る適用判定のフロー図は以下の通りです。

フロー図

※「改正前後の控除に係る適用判定のフロー図」(国税庁:ひとり親控除及び寡婦控除に関するFAQ(源泉所得税関係))を加工して作成

フロー図において、〔改正後〕の「年末調整時の申告」欄が「必要」となっている人は、令和2年分の年末調整の際にその異動内容について申告をする必要がありますので、令和2年の最後に給与の支払を受ける日の前日までに、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を、給与の支払者に提出してください。

フロー図内 (注) … 改正前の「寡婦(特別の寡婦を除く)」に該当する方が、上記適用判定の結果、「寡婦」に該当する場合において、その人と生計を一にする子を有するときは、「ひとり親」(控除額:35万円)に該当し、年末調整の際にその異動内容について申告する必要があります。

 

改正前の「未婚のひとり親(寡婦(夫)、特別の寡婦に該当しない者)」に該当する人が、フロー図の判定の結果、「ひとり親」に該当する場合の申告については、以下の【〔記載例〕扶養控除等(異動)申告書】を参考に二重線を引き「ひとり親」の欄を作成して申告してください。

扶養控除申告記載例

※「〔記載例〕扶養控除等(異動)申告書(ひとり親に該当する場合)」(国税庁:昨年から変わった点《4-⑶令和2年分の年末調整の際の申告》)を加工して作成

 

令和2年分の源泉徴収簿の記載

ひとり親に該当する旨の申告があった場合等には、以下の記載例を参考に「扶養控除等の申告」欄内やその余白などに「ひとり親」と記載します。

源泉徴収簿

※「〔記載例〕源泉徴収簿(ひとり親に該当する場合)」(国税庁:昨年から変わった点《4-⑷令和2年分の源泉徴収簿の記載》)を加工して作成

改正前の「寡夫」又は「特別の寡婦」に該当する人が、フロー図の判定の結果「ひとり親」に該当する場合、令和2年分の年末調整では「ひとり親控除」が適用されますので、源泉徴収簿の訂正漏れにより年末調整に誤りが生じることのないよう、ご注意ください。(「ひとり親」に該当する旨を申告する必要はありません。)

⑤ 年末調整関係手続の電子化

生命保険料控除、地震保険料控除および住宅借入金等特別控除に関する年末調整関係書類について、電子データによる提供が可能となりました。

令和2年10月以降に提出する年末調整関係書類において適用されます。

 
 

出典 国税庁:「令和2年分 年末調整のしかた
       「昨年から変わった点
       「ひとり親控除及び寡婦控除に関するFAQ(源泉所得税関係)

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